諸所について

もう二度と消さないから

漫画

 

 俺は、暇なとき漫画を読む。「この本読んだら、何か面白い体験ができそうだ」と直感的に思った漫画を読む。

  印象に残る漫画がいくつかあった。模造クリスタルの「金魚王国の崩壊」や手塚治虫の「火の鳥」、岩明均の「寄生獣」など、抽象的で広いテーマを扱ったものが多かった。

 

 俺は、少年漫画を少年時代に卒業した。小学生の頃は、兄が買ったジャンプや単行本を部屋に忍び込んで、読んでいた。自分から漫画の単行本を買うことは少なかったので、兄が大学に進学して家を出る頃には、俺もジャンプを自動的に卒業した。

 ドラゴンボールを初めて読んだのは、8歳ぐらいの頃だと思う。中学生になる頃には、少年漫画の既視感に飽きて、徐々に流行り始めたWeb漫画を漁っていた。今ではメジャーな、不条理ギャグ「ワンパンマン」に出会ったのもその頃だった。当時有名だったWeb漫画はだいたい読んだと思う。

 

 一般的に面白いと言われている漫画は確かに面白いけど、俺の場合は、1週間もすれば内容をほとんど忘れる。架空のキャラクターが架空の世界で何をしていたところで、世界が閉じている限り、「そういうもの」の一言で片付いてしまう。俺は、ドラゴンボール以外の少年漫画の詳細を覚えていない。作者の用意した架空の世界にとことん興味が無いんだと思う。その時どんなに熱狂して読んでいても、印象に残らない。

 

 恐らく、こんな体験は俺特有のものではなくて、むしろ一般的なんだと思う。漫画愛好家や特定のファンでもない限り、漫画は刹那的に消費される。いつまでも同じ漫画に張り付いているほうが稀で、サッと読まれてサッと忘れられる。Twitter漫画は漫画という媒体の強さと脆さを如実に表している。

 

 しかし、その中でも印象に残る漫画がある。印象に残る漫画は、現実の苦悩の中から引っ張り出してきた普遍的なテーマが多い。それは、人生を生きるにおいて避けられないような状況や複雑な問題であって、解決されないまま放置されることも珍しくない。

 俺にとって印象に残っている漫画がそうである理由は、過去に体験した、忘れてしまった記憶に結びついているからかもしれない。